セールスパーソンの社内ネットワークについての研究-マーケティングとお客様相談部

セールスパーソンの社内ネットワークについての研究-マーケティングとお客様相談部

業績を上げるにはマーケティング部門とあまり付き合わない方がいい?

セールスパーソンが業績を上げるためには、社内関連部門との間に良好な関係を構築することが重要です。例えば新規顧客の開拓の際に、見込顧客の情報を入手するためにはマーケティング部門の協力が必要になるでしょう。また、既存顧客の問合せに対応するためには、お客様相談部のサポートがあれば、円滑に進めることができるかも知れません。このように、営業活動で業績を上げるためには、社内関連部署という資源を有効に活用することが不可欠です。
セールスパーソンの社内ネットワークと業績についての関係を分析した研究によりますと、人間関係の量と強度によって、セールスパーソンの業績に差が出ることがわかっています。人間関係の量についてはつながり(リンク)の数で、強度に関しては、交際の頻度・重要性・親密性によって測定しています。また、セールスパーソンの業績は、成長度(対前年度伸率)を用いて分析をしています。

部署によって違うつきあい方

詳しく見てみると、マーケティング部門との間では、リンクの数が少なくて強い関係のネットワークを構築している方が、セールスパーソンの業績を上げることがわかりました。その反面、お客様相談部との間では、リンクの数が多く弱い関係のネットワークが、セールスパーソンの業績には有効であることが示されました。研究者はこの結果を、以下のように解釈しています。

マーケティング部門との間では、リンクの数が多いとコミュニケーションのための手間暇が掛かるために好ましくない、というのが大きな理由です。逆に、マーケティング部門との間の強い関係は、顧客へのソリューションの内容を考案する時に役に立つからです。

一方、お客様相談部との間では、顧客への迅速な対応のためには、より多くのリンクを持っていた方が有利です。ただし、セールスパーソンは常に新規顧客開拓が優先されるのに対し、お客様相談部の関心は、顧客が既購入自社製品を長く使うことにあって、利害が対立しています。従って、弱い関係の方が利害の対立が表面化しないため好ましいと結論づけています。

日々の営業活動での応用

日常業務で忙しい毎日を送っているセールスパーソンとしては、こうした知識をうまく活用するといいでしょう。目的に応じて、社内関連部署との付き合い方を加減するわけです。新規顧客開拓の時には、マーケティング部門との間で密接な連携を取ることで、効果的な営業活動を展開することができます。顧客対応の場合には、お客様相談部のような部署と協働してあたります。ただしその時に、あまり濃密な関係にならないように加減する必要があります。

営業マネジャーにとっては、社内のセールスパーソンのネットワーク構造の状態をモニターすることで、営業部門全体の業績を向上させることが可能になるでしょう。必要であれば、社内で他部門と交流する機会を設けるなどの仕掛け等も有効であるかも知れません。その一方で、他部門との連携が好ましくないパターンに発展しそうな場合は、何らかの制限を設けることによって歯止めをかける必要が出てくるかも知れません。無制限に他部門との関係を深めれば良い、というわけではない点に注意が必要です。

Claro, D.P. and C. Ramos, Sales intrafirm networks and the performance impact of sales cross-functional collaboration with marketing and customer service. Journal of Personal Selling & Sales Management, 2018. 38(2): p. 172-190.

コメント

タイトルとURLをコピーしました