数字つき名称のはじまり
最近、数字付きの名称をよく目にします。最初に使われはじめたのが、『Web 2.0』です。
2000年代、ブログが新しく出現してCGMと呼ばれるユーザーがコンテンツを作成する時代が出てきました。それまでのインターネットのホームページといえば、企業が発信するものが中心でした。『Web 2.0』はそうした背景を受けて、オライリー社の社長が講演で話したのがきっかけで、一気に広まりました。
今日は、『Web 3.0』の時代であるといわれています。ブロックチェーン、仮想通貨、メタバース、NFT等、新しいサービスが次々と産み出されています。
マーケティングの数字つき名称
マーケティングの大家、コトラーは『マーケティング 3.0』を2010年に出帆しました。その後、2017年に『マーケティング 4.0』を、2022年の今年になって『マーケティング 5.0』を出版しています。
それぞれの内容の詳細は次のようになっています。
『マーケティング 3.0』は、SNSによる影響について
『マーケティング 4.0』は、カスタマー・ジャーニーやオムニチャンネル
『マーケティング 5.0』は、デジタル化(DX)
その他の数字つき名称
インターネット以外の分野でも多くの数字つき名称が用いられています。
製造業の工場における取り組みとして、『インダストリー 4.0』というコンセプトが広まりました。
さらに、社会全体の状況としての、『ソサエティ 5.0』などもあります。
営業の数字付き名称-『営業 5.0』とは何か?
それでは、現在(2022.11時点)の営業はいくつでしょうか?
私は『営業 4.0』が適切であると考えます。それぞれの内容をまとめると、次のようになります。
『営業 1.0』は、客先への訪問販売
『営業 2.0』は、デレアポの時代
『営業 3.0』は、インサイド・セールスの時代
『営業 4.0』は、リモート営業の時代
『営業 1.0』は、営業員が客先を訪問して注文を取っていた時代です。この時代は、もっと基本的な形態の営業活動であると言えるでしょう。
次の『営業 2.0』になると、デレアポが営業活動に用いられるようになります。客先を訪問せずに、オフィスから電話一本で営業活動ができます。訪問時間とコストを大幅に削減できるようになりました。
テレアポと区別するために1980年代頃から生まれたとされるインサイド・セールスは、『営業 3.0』時代の幕開けをもたらしたと言えるでしょう。インサイド・セールスは、1990年代から2000年代に広がり、米国では今では学生の人気職種の一つになっている、という調査もあります。
『営業 4.0』は、リモート営業の時代です。現在の『営業 4.0』は、コロナ禍によって一気に広がりました。ZoomやTeamsといったオンラインツールを用いた顧客との面談は、今では当たり前に見る光景となりました。また、海外との会議なども手軽におこなえるようになりました。
コロナ禍の前から、SFAツールやMAツールの活用が始まっていました。また最近では、XR、DX等の環境の変化が広がっています。こうした、営業活動をとりまくさまざまなツールやプラットフォームが急速に普及していることから、次の『営業 5.0』の時代は、もうすぐにでもやってきそうな感じがします。
そして、『営業 5.0』の中身はといえば、やはり次のものでしょうか?
『営業 5.0』は、メタバース営業の時代
メタバースの可能性について、いまさらあらためていうまでも無いでしょう。一時期ほどの勢いや関心は沈静化しているものの、依然として、ビジネス活動におけるメタバース利用の可能性に対する期待は高まったままです。
今後、高性能で安価なVRゴーグルが発売されると、営業活動にたいしても大きな変化をもたらすことが見込まれます。そして、『営業3.0』『営業 4.0』からの『営業5.0』にかけては、営業活動のDX化というふうに捉えることが出来るでしょう。
ただし、営業活動が今後どんどん変化し、新しい『営業 ○○』になったとしても、営業活動の基本はそれほど変わらないでしょう。