相手を知りたい時に自問する内容
営業活動においてもっとも緊張する場面は、見込客との最初の面談でしょう。その時に相手はあなたのどんなところを見ているのでしょうか?また、あなたも相手のどんなところを見れば、その後の商談において有効になるでしょうか?
他人と顔を合わせた時に、人が気にして自問する質問は、ごく一握りだと言われています。それは次の5つの質問だそうです。
- 面白いか、つまらないか
- 信頼できるか、あてにならないか
- 支配的か、従属的か
- 良い人か、ひどい人か
- 正気か、どうかしているか
人間の性格(パーソナリティー)ービッグファイブ
人間の性格を研究する概念として、心理学では「ビッグファイブ」がよく知られています。1980年代以降、性格特性論の立場から人の基本的性格特性が五次元で記述できるとするいわゆるビッグファイブ研究が盛んに論じられるようになってきました。そこには、人は思考や感情、行動の背後にある一貫した反応傾向や共通特性をもっていると仮定しています。
パーソナリティは人によって多様であるため、類型論的アプローチでは納まりきれません。性格の場合には、例えば血液型のように、A型であってB型と言うことはあり得ないからです。
特性論では、誰もがそれぞれの特性についての傾向を、ある程度持っていると考えます。そして、数多くの視点から人間のパーソナリティーを把握しようとします。
ビッグファイブは性格特性論と呼ばれます。個人がその特性(trait)をどの程度有しているかによって、人の性格を説明する点が特徴です。5因子モデルとも呼ばれます。
5つの性格特性
ビッグファイブは、以下の5つの性格特性から成り立っています。これらは、英語の頭文字を取ってOCEANと呼ばれることがあります。
- ①(経験への)開放性(Openness to experience):
-
新しい経験に対して人が取る態度です。文化的、芸術的活動にどれくらい携わっているか、また、新規なアイデアや感情への対応に表れます。
- ②誠実性(Conscientiousness):
-
自制心、几帳面さなどです。仕事の〆切や約束を守ると言った行動に表れます。
- ③外向性(Extraversion):
-
外に向かっての態度です。エネルギッシュである、ポジティブに考えるなどがあります。また対人関係においては、支配的になる傾向があります。
- ④調和性(Agreeableness):
-
他人に対する接し方の尺度です。懐疑的・敵対的ではなく、思いやりややさしさにあふれているかどうかです。利他主義的な行動や、協調的な行動に表れます。
- ⑤情緒不安定性(Neuroticism):
-
精神的なストレスに対する態度です。メンタルが弱い、心が折れやすい、と言えばわかりやすいでしょう。緊張しやすかったり、感情が傷つきやすかったり、というところにあらわれます。逆に、精神的面での安定性をさして言う場合もあります。
ビッグファイブの活用
さて、冒頭の自問内容ですが、もうお気づきでしょうか。そうです。それぞれビッグファイブの尺度について、自問していることがわかりますね。
- 面白いか、つまらないか:(開放性)
- 信頼できるか、あてにならないか(誠実性)
- 支配的か、従属的か:(外向性)
- 良い人か、ひどい人か:(調和性)
- 正気か、どうかしているか:(情緒安定性)
人間の性格を知るためには、ビッグファイブが役に立ちます。相手の性格がわかれば、それ以降の商談をスムーズに進めることも出来るでしょう。また、自分の性格を知れば、仕事を遂行していく上で、大いに参考になるでしょう。