キャリアコーン
キャリア・デベロップメントの代表的な概念のもうひとつが、キャリアコーンと呼ばれる理論です。アメリカの心理学者シャインが提唱しました。この理論を用いると、営業員が組織内でどのように自分のキャリアを追求していけるかが理解できます。
キャリアコーンは、組織内でのキャリア・デベロップメントが三方向の軸から形成されていることから、組織の三次元モデルとも呼ばれています。コーンというのは円錐形のことです。
組織内でのキャリア・デベロップメントの方向
組織内でのキャリア・デベロップメントの方向を、①組織階層の移動(垂直方向)、②機能間の移動(水平方向)、③組織中核に向かう移動、の3方向で示しています。それぞれの内容は以下です。
①組織階層の移動(垂直方向)
組織の職位や職階を垂直方向に上る移動です。いわゆる昇進に該当します。組織内でほ地位(階層)の上昇を表します。業務内容や組織によっては、階層が多い場合と少ない場合があります。
②機能間の移動(水平方向)
同じ組織内の一つの部門から、別の部門に移ることです。例えば、営業部門からマーケティング部門への移動のような、いわゆる人事異動が該当します。平行的・横断的な移動で、職務の広がりを表します。人によっては、キャリアの早い段階から1つの専門領域に特化する場合もあります。また多くの領域を経験して、将来的にはジェネラル・マネージャーの道に進む人もいます。
③組織中核に向かう移動(中心化)
組織に長く在籍することで、その職種もしくは組織のシニアメンバー(上司)から信頼を得て責任・権限が高まります。また組織の部内者化が進み、役割の重要性が進みます。組織の中核的な存在として影響力を持つようになる場合があります。
営業員のキャリア・デベロップメント
営業員のキャリア・デベロップメントを考えた場合、上記の①から③まではどのようになるでしょうか?
①の場合は、配属先の営業所・支店で偉くなり、所長や支店長になっていくイメージです。さらに、営業統括役員にまで出世できるかも知れません。
②の場合は、事業部内の事業企画部署、他部門のマーケティングやスタッフ部門(人事、総務等)などへの移動です。
③の場合は、全社企画部門(Corporate Planning)や社長室・社長秘書などへの移動が考えられます。あるいは、総務部などで会社の生き字引的存在になることです。
参考資料
- エドガー・H.シャイン(二村敏子・三善勝代訳)、『キャリア・ダイナミクス』、白桃書房、1991