【CD-4】セールスパーソンとキャリア・デベロップメントについての研究

目次

セールスパーソンのキャリア・ステージ

セールスパーソンのキャリア・デベロップメントに関する研究では、興味深い結果が見つかっています。研究を紹介するまえに、セールスパーソンのキャリア・ステージについて説明しましょう。キャリア・ステージは、探索期(20~30歳)、確立期(30~45歳)、維持期(30後半~)、離脱期(引退前)の四つに分けられます。(年齢は一部重なっているところがあります。)

Stage
探索期(20~30歳)
Stage
確立期(30~45歳)
Stage
維持期(30後半~)
Stage
離脱期(引退前)

キャリア・ステージごとに変わるセールスパーソンの動機付け

まず、キャリア・ステージごとに、セールスパーソンの動機付けが変わっているという研究です *1。動機付けを、外発的動機付け(報酬追求、承認欲求)と内発的動機付け(挑戦追求、仕事を楽しむ)にわけたうえで、4つのキャリア・ステージごとの動機付けのスコアを比較しています。基本的には、ステージが進むほど、スコアが低くなる結果になっています。ただし、挑戦追求のみが、確立期で最も高くなっています。また、報酬追求は、離脱期の方が維持期よりも高くなっています。

キャリア・ステージごとのセールスパーソンの満足度と転職意向

次の研究は、同様にキャリア・ステージを三段階に分け(探索機、確立期、維持期)、ステージが仕事に対する満足度と転職意向にどう影響するかを分析しています *2。その結果、探索期では固定給制の方が、仕事の満足度が高く、転職意向が低い結果となっています。確立期では逆に、インセンティブを強くした方が、仕事の満足度が上がり転職意向が低くなりました。。

キャリア・ステージごとのセールスパーソンの満足度と転職意向

同様に、三段階のキャリア・ステージ(探索機、確立期、維持期)に対して、仕事の特性と仕事の満足度を調べた調査もあります *3。この研究では、仕事の自律性と主体性(アイデンティティ)と満足度の関係は、確立期・維持期の方が高くなりました。仕事の多様性とフィードバックをもらえる度合いは、探索期が高くなります。


ここで紹介した研究では、キャリア・ステージが、セールスパーソンの態度や行動、価値観等に、一貫して大きな影響を与えていることがわかります。そうした知見は、営業組織を管理・運営していくうえで参考にすることができます。

参考資料

  1. Miao, C. F., D. J. Lund and K. R. Evans (2009). “Reexamining the Influence of Career Stages on Salesperson Motivation: A Cognitive and Affective Perspective.” Journal of Personal Selling & Sales Management 29(3): 243-255.
  2. Flaherty, K. E. and J. M. Pappas (2002). “The Influence of Career Stage on Job Attitudes: Toward A Contingency Perspective.” Journal of Personal Selling & Sales Management 22(3): 135-143.
  3. Menguc, B. and S. N. Bhuian (2004). “Career Stage Effects on Job Characteristic-Job Satisfaction Relationships among Guest Worker Salespersons.” Journal of Personal Selling & Sales Management 24(3): 215-227.
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