ホランドコード
職業に対する興味や選択は、個人の性格によって影響を受けると言われています。自分の性格を知ることは、自分に合った職業を選択することにつながります。ホランドコード(Holland Codes)は、アメリカの心理学者であるジョン・L・ホランドが開発した、性格タイプに基づくキャリアと職業選択の理論です。個人の職業に対する興味(職業興味)を6つの領域に分類したモデルを用いて分析します。それぞれの領域の特徴は以下の通りです。六つの領域の頭文字を取って、別名RIASECモデルともいいます(図)。
職業興味の6つの領域
職業興味の領域は、以下の6つです。
- 現実的(Realistic)
- 研究的(I: Investigative)
- 芸術的(A: Artistic)
- 社会的(S: Social)
- 企業的(E: Enterprising)
- 慣習的(C: Conventional)
それぞれについて、以下で簡単に説明します。
①現実的(R:Realistic)
ものを扱うことが好きな人たち。自己主張が強く競争心が強く協調運動や技術、体力を必要とする活動に興味がある傾向が見られる。抽象的な理論よりも、問題解決への具体的なアプローチを好むとされる。
②研究的(I:Investigative)
データを使って仕事をすることを好む人たち。行動するよりも考えて観察し、説得するよりも情報を整理して理解することを好む。人を中心とした活動よりも個人を中心とした活動を好む傾向がある。
③芸術的(A:Artistic)
アイデアやものを扱うのが好きな人たち。創造的、オープン、創意工夫、独創的、知覚的、敏感、独立、感情的な傾向が見られる。構造やルールに反発する傾向がある、人や物理的なスキルを伴うタスクを楽しむ傾向がある。
④社会的(S:Social)
人と一緒に仕事をすることが好きで、教えたり助けたりする場面では自分のニーズを満たしているように見える。人との親密な関係を求めることに惹かれ、本当に知的な人たちで身体的なことを望む傾向が少ない。
⑤企業的(E:Enterprising)
人とデータを扱う仕事が好きな人たち。話上手で、自分のスキルを使って人を導いたり、説得したりする傾向が見られる。評判、権力、お金、ステータスを重視する。
⑥慣習的(C:Conventional)
データを扱う仕事を好み、ルールや規則を好み、自制心を重視する人たち。構造や秩序を好み、構造化されていない、あるいは不明確な仕事や対人関係を嫌う人々。評判、権力、ステータスに価値を置いている。
営業職と職業興味
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が、Web調査によって収集した24,000人以上の調査データを用いて、6種類の領域ごとに上位60位の職業を公開しています *2。
その結果によると、営業職では、④社会的に広告営業員が、⑤企業的に広告営業員、住宅・不動産営業員、印刷営業員がランク入りしています。営業員は社会的、企業的側面に対する職業興味があるということになります。ホランドコードは隣同士の領域(この場合は社会的と企業的)は似ている(対角線上は正反対)とされているので、納得できる結果になっているといえるでしょう。
参考資料
- Holland, John L.(渡辺三枝子・松本純平・道谷里英訳)、『ホランドの職業選択理論―パーソナリティと働く環境―』、雇用問題研究会、2013
- 独立行政法人 労働政策研究・研修機構、『労働政策研究報告書 No.146 職務構造に関する研究―職業の数値解析と職業移動からの検討―』、2012