セールスパーソンはなぜ何度も顧客を訪問するべきなのか?

スキル
目次

なぜ単なる繰り返しが人を変えるのか?-情動の二要因理論

単純接触効果は、宣伝広告活動においても利用されています。企業が発信するコマシャールによって、ブランド名や製品パッケージに対して特に顕著に効果が顕れることが研究によって明らかにされています。

単純接触効果がなぜ起こるのかについては、色々な説明がされてきました。その中でもっとも有力なものとされているのが、知覚的流暢性による誤帰属説です。

知覚的流暢性とは、ある対象に繰り返し接触することによって、その刺激に対する処理が、なめらかにおこなわれるようになります。その際に、対象に対する印象や行為がなめらかな処理の原因であると、誤って認識されるというわけです。

知覚的流暢性による誤帰属が起こる背景には、情動の二要因理論とよばれるものがあります。喜び、怒り、悲しみ、といった人間の情動は刺激によってひきおこされます。

その内容を認識するためには、刺激に対して自分がどう感じているかという、情動のラベリングが必要であるという理論です。

単純接触による刺激を、対象に対する好意と間違えてラベリングしてしまったのが、単純接触効果であるというわけです。

単純接触効果を使いこなす

相手が無意識のうちにあなたの姿を見ているだけでも効果があるわけですから、面談をしなくても、あなたの姿を見せるためにただ相手のオフィスに行くだけでもいいのです。

会うたびに顧客の心の中であなたに対する認識が書き換えられている様子を想像すると、なんだか楽しくなりますね。

こういう風に考えながら客先を訪問すれば、今後の営業活動で顧客訪問が、緊張をともなう苦しいものから、楽しいイベントに変わっていくでしょう。

コロナ禍以降は要注意ーリモート営業で同様の効果は期待できるか?

コロナ禍以降は、残念ながら、単純接触効果を活かした営業活動をすることは、難しくなってしまいました。用もなく客先を訪問することは、できなくなったからです。

それに変わって、リモート営業をおこなうことが増えています。オンラインでの面談で、対面の時と同じような効果があるかは、今のところは不明です。今後の研究の成果を待ちましょう。

参考資料

Janiszewski, C., Preattentive Mere Exposure Effects. Journal of Consumer Research, 1993. 20(3): p. 376-392

Scott, K.A. and M.A. White, Mere Exposure as a Signal: Company Objectives and Research Propositions. Journal of Marketing Theory & Practice, 2016. 24(4): p. 411-421.

Zajonc, Robert B. (1968). “Attitudinal effects of mere exposure”. Journal of Personality and Social Psychology 9 (2, Pt.2): 1–27.

SNSでシェアしましょう
  • URLをコピーしました!
目次