セールスパーソンと情報収集

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ビジネス・インテリジェンスとコンペティティブ・インテリジェンス

ビジネス・インテリジェンス(BI:Business Intelligence)は、ビジネス活動で情報技術を活用することによって形成されます。BIを用いると、ビジネス活動に関する過去・現在・未来(予測)の状況を把握できるようになります。BIの主な機能としては、報告書作成、オンライン分析処理、分析、ダッシュボード開発、データマイニング、ビジネスパフォーマンス管理、ベンチマーキング、テキストマイニング、予測分析、予測分析などがあります。

コンペティティブ・インテリジェンス(CI:Competitive Intelligence)とは、同業他社よりも高度なBIのことです。複数の情報源から体系的に情報を収集・分析します。CIを用いると、企業は競合他社、顧客、見込み客の潜在的な動き、などに関する情報を入手できます。その情報を用いて、企業は事業予測をしたり意思決定をおこなったりします。CIは、経営上の意思決定の際に、経営者や管理者を支援するためのツールです。

BIとCIの違い

BIとCIは、どちらも企業における意思決定を支援している点でよく似ています。BIとCIの違いを一言で言えば、BIが自社内の業務に焦点を当てているのに対して、CIは、外部の関係者(ステークホルダー:競合他社、顧客)の動向に焦点を当てている点にあります。BIでは自社内のビジネス・プロセスを分析するために、様々なツールを用いて蓄積されたデータを分析します。一方、CIでは、主に競合他社の動向に焦点を当てて、情報の収集や分析をおこないます。

ビジネス・インテリジェンスとコンペティティブ・インテリジェンス(矢印は情報の流れ)

セールスパーソンの役割

CIに関して重要な役割を果たしているのが、セールスパーソンです。セールスパーソンは、バウンダリー・スパナーフロントラインと呼ばれるように、自社と外部との間(境界:バウンダリー)に立って監視する役割(boundary-spanning role)を果たしています。セールスパーソンは、情報収集に重要な役割を果たす一方で、外部環境との関係において組織の最前線にいるため、環境で起きていることに関する情報に対するニーズが高いことにも留意する必要があります。

会社が広く市場に関するCIを持たなければならないのと同様に、セールスパーソン自身も自分が担当する顧客、競合他社、業界状況に関するCIを獲得し、活用しなければなりません *1。また、この場合には、セールスパーソンとマーケティング部門との間で、うまく共同し集合知(Collective Intelligence)を形成する必要があります *2。

参考資料

  1. Rapp, A., R. Agnihotri and T. L. Baker (2011). “Conceptualizing Salesperson Competitive Intelligence: An Individual-Level Perspective” Journal of Personal Selling & Sales Management 31(2): 141-156.
  2. Bon, Joel Le、”Competitive Intelligence and the Sales Force: How to Gain Market Leadership Through Competitive Intelligence,” Business Expert Press, 2014
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