セールスパーソン・インテリジェンス

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人間のインテリジェンス

人間のインテリジェンス(知性)を説明する理論に、スタンバーグの知性の三位一体理論(Sternberg’s Triarchic Theory of Intelligence)があります。この理論では、人間の知性を、①分析的インテリジェンス、②創造的インテリジェンス、③実践的インテリジェンスの三つに分類します。

  1. 分析的インテリジェンスは、抽象的・論理的思考能力です。さらに、言語スキルと数学スキルも関連しています。
  2. 創造的インテリジェンスは、 多様な思考によって新しいアイデアを生み出すことです。その結果、新しい状況に対処する能力が発揮できるとされています。
  3. 実践的インテリジェンスは、現実世界に知識を適用する能力です。自分のまわりの環境に適合する能力や、環境を選択する能力、環境をそのものを変容する能力もこの中に含まれます。

セールスパーソン・インテリジェンスとは?

それでは、セールスパーソンにとって必要とされるインテリジェンス(セールスパーソン・インテリジェンス)はどのようなものでしょうか?それは、③実践的インテリジェンスであるとされています(Sujan、1999)。

実践的インテリジェンスは、Street Smarts」(ストリート・スマート)とも言われています。日本語にすると、「世渡り上手」とでもいえるでしょう。ストリート・スマートには、学校では学べないスキルというニュアンスが含まれています。

実践的インテリジェンスを詳細に見ると、①環境への適合、②環境の選択、③環境の変容、の3つの要素があります。この3つの要素を、営業活動の状況に当てはめると、以下のようになります。

  1. 環境への適合については、顧客、上司、社内関連部署の言語的およぼ非言語的行動・動機・感情を正しく読み取ることが重要です。
  2. 環境の選択に対しては、会社/仕事、エリア、顧客の選択の際の視野の広さ/狭さが影響します。
  3. 環境の変容の際には、顧客、上司、社内関連部署に対して、変化を受け入れる柔軟性と利他的行為等の社会的態度が決め手となります。

優秀なセールスパーソンは楽観的な世渡り上手

Sujanは、これら3つの要素のメカニズムに影響を及ぼす最も重要な要因として、楽観的な考え方が重要であるとしています。

セールスパーソンを採用する際には、楽観性尺度を用いたり、エントリーシートに記載されている用語を分析したり、といったことが推奨されています。これは昨今のAIを用いた採用活動につながる主張です。

セールスパーソンのチームは、楽観的なセールスパーソン中心で構成すべきであると主張しています。その他、営業マネジャーのリーダーシップや、他の楽観的な営業メンバーとの接触・交流を通じて、部署内での楽観主義を広めていくべきである、と強調しています。

営業マネージャーは、営業組織の運営に際しては、これらの点についての配慮が必要でしょう。

参考資料

Sujan, H., Optimism and Street-Smarts: Identifying and Improving Salesperson Intelligence. Journal of Personal Selling & Sales Management, 1999. 19(3): p. 17-33.

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