セールスパーソン満足度
営業組織を運営する際に重要なことは、業績に影響をおよぼす要因を明らかにすることにあります。そうした要因の中で、重要な要因とされているものにセールスパーソン満足度があります。セールスパーソン満足度は、業務のパフォーマンスに大きく影響します。営業員の業績の向上のためには、組織方針や支援に対する満足度を高め、営業員の期待を適切に調整することが重要になります。
もう少し詳細にその中身を見ると、セールスパーソン満足度は、次のような項目に影響をがあることがこれまでの研究で示されています（*1、*2）。
- 営業員の離職率
- 常習的欠勤
- モチベーション
- 組織への関与度
- 顧客満足度
特に最後の顧客満足度に対する影響がある点は、経営陣の経営上の課題として、その重要に対する認識が高まっています。
INDSALES－セールスパーソン満足度の測定尺度
営業員の満足度を測定する尺度として有名な測定指標に、INDSALESがあります。INDSALESは営業員の満足度を測定するために、他領域からの借り物ではない、業務特有の項目（occupation-specific variable）を導入することを目指して開発されました（*3）。
INDSALESは、95項目の質問項目からできています。それらの質文項目は、次の7つの次元に分類されています。
- 仕事全般
- 同僚
- 上司の管理
- 会社の方針とサポート
- 給料
- 昇進や昇給
- 顧客
セールスパーソン満足度の先行研究
セールスパーソン満足度は、セールスパーソンの態度、意図、行動等を分析する研究でよく用いられています。Rutherford等（2019）は、営業員満足度に関する36本の先行研究を分析し、満足度の先行要因と後行要因、満足度の次元等を一覧として提示しています（*4）。その中から、いくつか興味深いものを、下にあげておきます。
| 作者 | 先行要因 | 後攻要因 | 次元 |
|---|---|---|---|
| Thakor and Joshi (2005) | 内発的動機 | 顧客志向 | 5. 給料 |
| Avlontis and Panagopoulos (2007) | セールステリトリー設計 管理者権限 | na | 7つの次元全部 |
| Marshall他 (2012) | na | 組織的コミットメント 組織市民行動 | 1. 仕事 |
| Hartmann and Rutherford (2015) | 企業心理 | 転職意図 | 1. 仕事 |
| Micevski (2017) | スポーツマンシップ 心の疲弊度合い | 1. 仕事 | |
INDSALESの簡易版
INDSALESは95項目もあるので、実際に回答するのは大変です。そのために、簡易バージョンの開発もおこなわれています。28項目や21項目のバージョンも提唱されています。
興味がある方は、お問い合わせページからお問い合わせ下さい。
参考資料
*1 Friend, S. B., J. S. Johnson, B. N. Rutherford and G. A. Hamwi (2013). “Indsales Model: A Facet-Level Job Satisfaction Model Among Salespeople.” Journal of Personal Selling & Sales Management 33(4): 419-438.
*2 Brown, S. P. and R. A. Peterson (1993). “Antecedents and Consequences of Salesperson Job Satisfaction: Meta-Analysis and Assessment of Causal Effects.” Journal of Marketing Research 30(1): 63-77.
*3 Churchill Jr, G. A., N. M. Ford and O. C. Walker Jr (1974). “Measuring the Job Satisfaction of Industrial Salesmen.” Journal of Marketing Research (JMR) 11(3): 254-260.
*4 Rutherford, B. N., J. S. Boles and S. C. Ambrose (2019). “Reconceptualizing the measurement of multidimensional salesperson job satisfaction.” Journal of Personal Selling & Sales Management 39(3): 287-298.