【SMI-1】営業部門とマーケティング部門の連携

営業とマーケティングとの間の連携に関しては、営業ーマーケティング連携研究(Sales–Marketing Interface、SMI)というネーミングで研究がおこなわれています。

これから、4回に渡って、SMIに関することがらについて解説します。第一回目は、営業とマーケティングの衝突についてです。

『営業とマーケティングの戦争を終結させる』

営業部門の活動において、マーケティング部門との連携はとても重要です。なぜなら、営業活動の目的は、マーケティング戦略の中身そのものとなっているからです。

それにもかかわらず、営業部門とマーケティング部門の連携がうまくいかない場合が多いと指摘されます。マーケティングで有名なコトラー教授は、2006年のハーバードビジネスレビューに、『営業とマーケティングの戦争を終結させる』というタイトルで論文を寄稿しているほどです(Kotler等、2006)。

連携がうまくいかない理由

営業部門とマーケティング部門との間で連携がうまくいかない理由には、双方どちらにも言い分があるようです。

企業によっては、マーケティング部門の方が、営業部門より社内的・組織的な立場が強い場合があります。その結果、営業部門は被害者意識のようなものをマーケティング部門に抱いてしまいます。それが反感を感じさせる要因の一つとなっていると考えられます。マーケティング部門が多額の予算を使って派手なキャンペーンを打つことなどにも、営業部門は不満を募らせているようです。

それに対して、マーケティング部門からも営業部門に対して不満を感じているようです。自分たちが長期的で戦略的な視点からいろいろと新しいコンセプトを導入して施策を立案しているのに、営業部門は、短期的で視野の狭い見方しかしない。すぐに「現場」を持ち出して何かと反対してくると、快く感じていないようです。

相手部門に対する不満

下の表は、それぞれの部門から見た相手に対する不満の一例です。

営業部門からみたマーケティング部門への不満マーケティング部門からみた営業部門への不満
○現場の状況を無視したキャンペーンが降りてくる○新しい概念や考え方を理解しようとしない
○営業からの意見を無視する、聞かない○決められた方針を守らない
○マーケティング方針がよく変わる○旧態依然とした業界の慣行に縛られている
○宣伝が先行し納品が遅れ顧客からのクレームにつながる○要求ばかりであまり工夫や努力をしない
○プロモーションに見合った活動費が割り当てられない○経費を有効に使用せず無駄な使い方をしている
○達成不可能なマーケティングプラン(販売プラン)が作られる○取引先にメリハリを付けていない
○(特定の)顧客の重要性がよくわかっていない○戦略的な優先順位を無視して、目先の顧客の欲求に対応しすぎ

今後の連携のために

営業部門とマーケティング部門の間の相互不信が高くなりすぎると、これら二つの部門の間での連携がちぐはぐになってしまいます。それは、全社的な視点から見て、好ましくない状況を生み出してしまいます。連携のためには、それぞれの役割分担を明確にする必要があります。この点につては、次の記事で説明します。

参考資料

Kotler, P., N. Rackham and S. Krishnaswamy (2006). “ENDING THE WAR BETWEEN SALES & MARKETING. (cover story).” Harvard Business Review 84(7/8): 68-78.

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